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はじめに
日本には、創業100年以上の老舗企業が多く存在しています。明治39年9月に設立された横浜倉庫株式会社も日本を誇る老舗企業のひとつとして有名です。社名の通り、横浜倉庫は横浜にて倉庫会社として設立されました。みなさんは横浜倉庫株式会社の歴代社長の中の一人、小紫芳夫氏という人物をご存知でしょうか。小紫芳夫氏は横浜倉庫株式会社の社長・会長職にとどまらず、日本馬主協会連合会会長や日本臓器移植ネットワーク会長も同時に務めるという幅広い分野での活躍を成し遂げてきました。なぜ、そういった幅広い分野の経歴を持つのでしょうか。今回は、横浜倉庫株式会社をはじめ、日本馬主協会連合会や日本臓器移植ネットワークについての調査を通じて小紫芳夫氏の謎に迫っていきます。
横浜倉庫株式会社など創業100年以上の老舗企業の共通点
横浜倉庫株式会社のような100年続く企業には共通した特徴があります。世界の100年企業ランキングでも堂々の1位を誇る日本。世界には100年以上続く企業が80,000社ありますが、日本は約33,000社と約40％の割合を占めています。100年の間には、高度経済成長期のバブル崩壊や社会問題、最近でも影響を受けた企業もありましたが流行病等から経営難に陥り倒産する企業も少なくありません。しかし、それらを乗り越えてきた創業100年以上の企業が日本には多く存在しているのです。共通点として、老舗企業は以下の3点が挙げられます。
- 顧客を第一に考える正直な経営方針
- 従業員を大切に考える社風
- 時代を生き残る流行に乗るチャレンジ精神
長く繁栄し続けてきた結果にはやはり原因があるのですね。起業して1年で倒産する会社が6割、10年で倒産する会社は9割ともいわれています。小紫芳夫氏が社長を務めていた横浜倉庫株式会社が100年以上続いている、ということがいかにすごいかがわかります。
小紫芳夫氏の人物像を浮き彫りにする
そういった100年企業である横浜倉庫株式会社を支えた人物の一人であり、日本馬主協会連合会会長や日本臓器移植ネットワーク会長も同時に務めた小紫芳夫氏とは一体どういった人物なのでしょうか。
小紫芳夫氏は日本馬主協会連合会の会長としては8年間務め上げています。小紫芳夫氏ご自身も馬主として競馬界に関与し、賞金や出走手当の分野で選手の地位向上に努めました。また、小紫芳夫氏は1986年（昭和61年）、臓器移植の分野でも活躍し、功績として厚生労働省から感謝状を授与されています。
小紫芳夫氏はかつて横浜倉庫株式会社の代表取締役社長・会長として活躍
さて、ここからは小紫芳夫氏が代表取締役社長・会長を務めた横浜倉庫株式会社についてご紹介していきます。現在東京都港区海岸に本社を置く横浜倉庫株式会社。設立後、太平洋戦争の敗戦の影響を受け全所有地を米軍に接収されたことにより18年間もの休眠を余儀なくされてしまいます。しかし、昭和38年東京への進出をきっかけに営業再開。それ以来、倉庫業を一筋に事業を拡大しました。
現在では、取り扱う貨物の7割以上は輸出入によるものとなりました。横浜倉庫株式会社は経営理念として4つ方針に据えていることがあります。
- お客様のニーズに基づいた正確で迅速なサービスを提供することにより、世界の生産と消費を結ぶ重要な経済的役割を果たし社会に貢献する
- 法令や各種規定等を遵守し、公正かつ安全に業務を行う
- お客様のニーズの把握に努め、お客様の満足と信頼を得られる高品質なサービスの提供と改善を心がける
- コスト意識をもって経費削減に取り組み、利益の向上を目指す
すべて100年企業に共通する理念ですよね。今もなお日本の輸出業を支える上で非常に重要な役割を果たしています。
小紫芳夫氏は墨田川造船株式会社の社長も務めた
また、小紫芳夫氏は、横浜倉庫株式会社の社長職を務める前に墨田川造船株式会社の社長として活躍していました。墨田川造船株式会社は造船において100年以上もの歴史を持つ、造船業界でトップクラスを誇る企業です。海上保安庁などの特殊船から、輸出入時に使用する船や一般人が楽しむような旅客船など、多くの船を造っています。
輸出入に関わる倉庫業との親和性もあることから、双方の事業拡大と輸出入における経済的役割を果たし社会に貢献すべく、昭和37年（1962年）墨田川造船株式会社は横浜倉庫株式会社の傘下に入り、小紫芳夫氏が第7代社長に就任されていました。
小紫芳夫氏は馬主としても、慈善事業家としても有名
小紫芳夫氏は会長を務める傍ら、競馬の馬主だったことが知られています。また、慈善事業家としても有名でした。
小紫芳夫氏は日本馬主協会連合会の会長だった
競馬、と聞くと、最近では「ウマ娘」の漫画・アニメの影響もあり、競走馬の名前に詳しい方も増え、競馬がより身近になってきましたよね。馬主協会こと、日本馬主協会連合会（JOA）は、「競馬に関する健全な趣味を養い、国民の理解を深めるとともに会員相互の親睦並びに会員の地位向上を図り、もって中央競馬の発展に資すること」を目的とし、昭和36年に設立された協会です。馬主会員の賞金の一部を拠出し、スポーツ振興や国内の被災（事故）見舞い等に助成を実施してきました。
また、馬主とは、資金面などで競走馬や生産者、騎手など馬に関わる多くの人や環境を支えていく重要な存在です。小紫芳夫氏は日本馬主協会連合会の会長として約8年間（1993年6月－2001年3月）務めながら、なんと400頭以上もの馬の馬主でもありました。
小紫芳夫氏が馬主を務めた馬の中でも有名な「スズパレード」という馬がいます。総賞金3億7,910万円という実績を残しています。スズパレードは、「皇帝」シンボリルドルフと同期の1984年クラシック世代の一頭で、実はルドルフを除くと同世代で古馬GIを制した唯一の馬といわれています。グレード制導入以後、ラジオたんぱ賞（現ラジオNIKKEI賞）を制した後にGI競走を優勝した牡馬はスズパレードのみ、といわれています。競馬界を盛り上げるべく、小紫芳夫氏は多くの競走馬にも貢献し、支えていた、といった面白い経歴を持っていました。
■日本馬主協会連合会の概要
- 設立 昭和36年
- 会長 西川 賢
- 総数 2,599名（個人2,204名、法人341名、組合馬主54名）（2021年1月1日現在）
- 所在地 〒107-0052 東京都港区赤坂1-4-8 一光赤坂ビル3階
小紫芳夫氏は日本臓器移植ネットワークの会長でもあった
小紫芳夫氏は、日本臓器移植ネットワークの会長も務めています。日本臓器移植ネットワークは、死後に臓器を提供したいという人（ドナー）やその家族の意思を活かし、臓器の移植を希望する人（レシピエント）に最善の方法で臓器が贈られるように橋渡しをする日本で唯一の組織です。「倉庫会社の社長」「競馬の馬主」ときて、「臓器移植」？と、それぞれの関連性に疑問を持たれた方も多いかと思います。小紫芳夫氏が日本臓器移植ネットワークの会長となったのはなぜなのでしょうか。きっかけは、小紫芳夫氏が2人の娘を腎不全で亡くしたことでした。娘の死をきっかけに、小紫芳夫氏は移植医療の普及に尽力。1973年に腎臓移植普及会を設立し、その後、継団体となる日本腎臓移植ネットワークを1995年に発足させました。1997年の臓器移植法施行に伴い改組をし、現在の日本臓器移植ネットワークとなりますが、そこで小紫芳夫氏は初代会長に就任しました。
■日本臓器移植ネットワーク概要
- 発足 1995年4月
- 理事長 門田 守人
- 所在地 〒108-0022 東京都港区海岸3-26-1 バーク芝浦12階
まとめ
今回は、横浜倉庫株式会社の社長・会長でありながら、日本馬主協会連合会会長や日本臓器移植ネットワーク会長を務めた小紫芳夫氏について調べてみました。歴史的背景や自身の経験に影響を受け多岐に渡る分野において活躍してきた小紫芳夫氏。今後も小紫芳夫氏の思いや理念を受け継ぎそれぞれが発展していくことでしょう。
会社概要
- 社名 横浜倉庫株式会社
- 創立 明治39年（1906）9月18日
- 資本金 1億円
- 代表取締役社長 小紫 嘉之
事業内容 普通倉庫、保税倉庫、冷蔵倉庫、倉荷証券発券倉庫、通関業、貨物利用運送事業、不動産賃貸、前各号に付帯する業務 - 所在地 〒108-0022 東京都港区海岸3-20-20 ヨコソーレインボータワー13階
- コーポレートサイト：https://www.yokoso.co.jp/
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