米国の投資会社ロイズ・キャピタルが9月4日、成田空港近くで大規模複合施設の開発に着手すると発表しました。この開発は商業施設やホテル、食品・農水産品のR&D・輸出促進拠点など、約38万平方メートルの複合施設を整備するというもの。これまで共生バンクグループが手掛けていたゲートウェイ成田開発プロジェクトの特定目的事業体(SPV)の株式をロイズ・キャピタルが100%取得し、共生バンクグループが発表していたマスタープランを引き継ぎ、開発を進めることによって、2027年3月から施設の順次開業を目指しています。
ロイズ・キャピタルはどんな会社?
ロイズ・キャピタルは、米国のデラウェア州に本籍を置き、ワシントンDC、ドバイ、東京に展開している国際的な投資会社だそうです。米国、ヨーロッパ、アジア、中東における多様なプロジェクトを手がけ、豊富な経験を持つ専門家によってリードされているとのこと。同社は、記者発表資料で、今回の買収が日本の、東京近郊エリアにおける革新的な開発に向けた重要なステップだとしています。
ロイズ・キャピタルは、特に高影響な開発プロジェクトに焦点を当て、持続可能な開発やグリーンイニシアティブを重要視しています。また、優れたデューデリジェンスやガバナンスに注力し、投資先のプロジェクトに対して綿密な計画と実行を行っています。ロイズ・キャピタルは、グローバルにさまざまなプロジェクトに投資しているそうですが、その一つがインフラ、テクノロジー、データセンター、AIシステム開発、ホスピタリティなどの分野での投資、つまりゲートウェイ成田プロジェクトになるということです。
ロイズ・キャピタルが取得予定のSPVは?
SPV (Special Purpose Vehicle)とは、証券化などを目的に、特別に設立したSPC、組合、信託などの総称です。今回、ロイズ・キャピタルが株式を100%取得するのはゲートウェイ成田プロジェクトのSPV。このSPVはゲートウェイ成田開発プロジェクトの開発主体となるものであり、日本国内の新設法人あるいは既設法人がそのSPVとなる予定だといいます。
開発用地などの所有権はロイズ・キャピタルへ
ロイズ・キャピタルとの取引の完了により、共生バンクグループが保有するゲートウェイ成田プロジェクトの開発用地については、それを保有するSPCの株式を含めて、このSPVにすべて移転することが予定されています。つまりゲートウェイ成田プロジェクトの開発用地の所有権がロイズ・キャピタルに移るということです。
ロイズ・キャピタルが投資するゲートウェイ成田プロジェクトとは?
米ロイズ・キャピタルが取得予定のSPV、「ゲートウェイ成田プロジェクト」とはどんなプロジェクトなのでしょうか。
デジドームやフードテックR&Dなどの施設を展開
ゲートウェイ成田プロジェクトは成田国際空港近郊に位置する約45万6,000平方メートルの土地を対象として、客席数5,000席以上という近未来型アリーナ「デジドーム」や、成田地区最大級の客室数を予定するホテル、商業施設、食品関連会社の開発拠点やテストマーケティングレストラン、情報配信用のキッチンスタジアム、国際会議場、冷凍貯蔵庫などで構成される「フードテックR&D」のほか、最先端のデータセンター、AI(人工知能)システム開発研究所などの複合的な開発を行っていくという計画です。
このプロジェクトは成田市を含む広域的な東京エリアに、雇用創出、地元企業の活性化、インフラ整備など多くの経済的利益がもたらされると期待されています。
ゲートウェイ成田の基本計画
- 所在地:千葉県成田市小菅地区
- 敷地面積:約45.6万㎡
- 総延床面積:約38万㎡(予定)
- 開業時期:2027年3月(一部開業予定)
- 主要施設:商業複合施設、デジタルドーム、ホテル、フードテックR&D拠点、バスターミナルなど
ゲートウェイ成田プロジェクトはみんなで大家さんのファンドに
ゲートウェイ成田プロジェクトはこれまで、不動産投資開発事業の一環として共生バンクグループが携わってきました。同グループの都市綜研インベストファンド株式会社が予定地を組み込んだ投資ファンド「みんなで大家さん」を組成し、みんなで大家さん販売株式会社がこのファンドを販売しています。
成田空港周辺開発プロジェクト用地が組み込まれた「みんなで大家さん」は、2021年2月1日に運用開始された「シリーズ成田1号」を皮切りに、「シリーズ成田18号」まで販売・運用されています。シリーズ成田1号の満期は2026年1月31日を予定。また、最新の「シリーズ成田18号」は今年5月1日、運用開始となり、運用期間は5年、満期は2029年4月30日を予定しているとのことです。
詳細は「みんなで大家さん」商品ページをご参照ください。
https://www.minnadeooyasan.com/fund_list/
ファンド「みんなで大家さん」への賃料は?
ファンド「みんなで大家さん」はこのゲートウェイ成田プロジェクト用地の賃料が組み込まれています。共生バンクグループから開発用地の所有権含めてSPVがロイズ・キャピタル100%の株主になるとどう変わるのでしょうか。
大手メディアの取材に対して、共生バンクの窓口担当者が「ロイズ・キャピタルとゲートウェイ成田プロジェクトの交渉がまとまれば、事業はロイズ・キャピタルが引き継ぐことになる。ファンドに対してもロイズ・キャピタルが賃料を払っていくことになり、投資家への配当も継続していく」と説明しています。
今後のゲートウェイ成田プロジェクトは?
プロジェクトのマスタープランと基本設計は2024年12月までに完了予定だということです。このマスタープランは共生バンクグループで作ったものが踏襲されるようです。建築許可のための最終図面は2025年第3四半期末までに提出される予定で、建設は2025年第4四半期末までに開始される見込みだといいます。
ロイズ・キャピタルはこのプロジェクトを約100億ドルと評価しており、投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの期待に応える成果を目指すとのこと。また、地域社会との協力を通じて、千葉県および東京エリアに貢献することを目標としているそうです。
ゲートウェイ成田の開発に関する詳細な情報は、今後の調査の進展および必要な承認が完了次第、提供される予定だということです。